空一杯に広がった雲、わずかな隙間から夜明けの光が漏れてくる。やがて光の窓は広がり、大津川河口の水面が耀き出す。大津川上流から霧の塊が押し寄せ、上流の大津川橋を呑み込み、河口に広がる葦原をも覆ってしまう。突然の人声に振り返れば、霧の中から散歩の人影が浮かび上がる。朝焼けが地平線の空と水面をピンクに染め、やがて日の出だ。霧が引き始めると河口にいた釣り人のシルエットが浮かび、枯れた葦の穂が耀きだす。大津川河口付近から見る霧の朝はすばらしい。

 風のない日、まだ朝が来る前の河口に我孫子の灯りが映り、長く尾を引く。残り少なくなった斜面林の上に出現した、巨大マンション群に目覚めの灯りがともり出す。ひどり橋を通り過ぎる散歩の人は朝が早い。あちこちに「おはよう」の声が聞こえるころ駅伝の選手たちが一団となって駆け抜ける。晴れた日の眩しい太陽が湖面に映り、その中を小舟が横切っていく。釣り人たちも朝が早い。休日になると、大津川河口は釣り人でにぎわう。

 大津川河口の見所は両岸に広がった葦原。枯れた葦原が朝の光に耀くのもいいし、春が来て一斉に新芽が吹き出したときもいい。葦の新芽に日の光が当たると、一斉に緑の蝋燭が燃え出すようだ。